MEMORY OF OTHERS / 誰かの記憶

ある日、ふとしたとき、蚤の市へ出かけてみた。偶然にもある出品者の机に100本ほどのネガを発見することとなった。気になった私はネガを一本、一本を見つめながら、そこに眠る誰かの記憶をみることとなった。それはまるで一本のドキュメンタリー映画のようでもあった。どうやら写真は1957年から1975年までにオーストリアで撮られていたらしい。家族の写真が中心であったが何かは不思議な風景も記録されていた。何がキッケケで写真を始め、75年に終わることとなったのかは知る由もないが、確かにそこにはハッキリと何かが存在しているのが分かり、これを一冊の本として発表したいとの気持ちがわいてきた。早速、ネガを買い取り洗浄、気になった写真だけを取り出し、スキャン、コンピューターでのデジタル化を試みた。消えてしまった風景もあれば、まだそこに存在する景色も少なからず存在するのであろう。この作品を通し、そこにあるであろう記憶をあなたと共有できればと考える。

Memory of Others, 2013, Austria, Lambda-Print, 70 x 70 cm

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